「あしあと」

「あしあと」という本からの引用です。

※引用した本:マーガレット・F・パワーズ(作)松代恵美(訳)あしあと 太平洋放送協会<PBA>

あしあと

 

ある夜、わたしは夢を見た。

 

わたしは、主とともに、なぎさを歩いていた。

 

暗い夜空に、これまでのわたしの人生が映し出された。

 

どの光景にも、砂の上にふたりのあしあとが残されていた。

 

一つはわたしのあしあと、もう一つは主のあしあとであった。

 

これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき、わたしは、砂の上のあしあとに目を留めた。

 

そこには一つのあしあとしかなかった。

 

わたしの人生でいちばんつらく、悲しい時だった。

 

このことがいつもわたしの心を乱していたので、わたしはその悩みについて主にお尋ねした。

 

「主よ。わたしがあなたに従うと決心したとき、あなたは、すべての道において、わたしと共に歩み、わたしと語り合ってくださると約束されました。

 

それなのに、わたしの人生のいちばんつらい時、ひとりのあしあとしかなかったのです。

 

いちばんあなたを必要としたときに、あなたが、なぜ、わたしを捨てられたのか、わたしには、わかりません。」

 

主は、ささやかれた。

 

「わたしの大切な子よ。

 

わたしは、あなたを愛している。あなたを決して捨てたりはしない。ましてや、苦しみや試みの時に。

 

あしあとがひとつだったとき、わたしはあなたを背負って歩いていた。」

 

「エゴの中にあって苦しい」

「つらい感情が出てきて苦しい」

「これで本当に浄化できてるのか、癒されているのか、今までやってきたことは全部無駄だったんじゃないか、間違っていたんじゃないかと、不安になる」

・・・最近、そういったお話を聴くたびに、この詩が、わたしの中に浮かんでいました。

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